■生命の誕生〜多細胞生物の出現   戻る

地球は46億年前に誕生し,最初の生命が誕生したのは,今から38億年前※といわれ,その当時の生命は海中のシアノバクテリア(ラン藻類)のような微生物だけだったと考えられている。

※オーストラリアの38億年前の地層の研究による。そこには化石は認められないが,生物起源のものに近い炭素の安定同位体比(質量数が12と13の割合)を持つ炭素化合物が認められ,生命存在の証拠とされている。

先カンブリア時代の酸素の発生
およそ38億年前〜6億年前の長い間,地球上の生物はシアノバクテリアのような微生物が主だったと考えられている。このシアノバクテリアはその長い間,二酸化炭素を吸収して酸素を放出する光合成を行い,後の時代の酸素を必要とする生物が発展する環境を形成した


シアノバクテリアが形作ったストロマトライト stromatolite
20 億年前 ボリビア

ストロマトライトはシアノバクテリアが作った酸化鉄と炭酸カルシウムを主とする硬い層状体で,部分的にキノコ型や渦巻き状。
シアノバクテリアは海中で光合成を行い,酸素を放出し,その酸素で30億〜20億年前に海中にたくさん溶けていた鉄分が酸化鉄として沈殿した。それは右の画像のようなもので縞状鉄鉱層といい,オーストラリア,中国,アメリカ,ブラジルなどに広く分布し,現在,人類が利用する鉄資源の大部分を占めている。


縞状鉄鉱層 banded iron formation
25億年前  オーストラリア ハマスレイ

黒い部分が赤鉄鉱を主とする酸化鉄の層。赤い部分は石英を主とする。縞状鉄鉱層はオーストラリア,中国,アメリカ,ブラジルなどに広く分布し,人類が利用する鉄資源の大部分である。


多細胞生物の出現
目で見える大きさの生物(多細胞生物)は約10億年前に出現したといわれ,それが発展し始めたのは約6億年前以降である。この初期の多細胞生物の代表的なものはオーストラリアやロシアなどから産出するエディアカラ動物群という軟体組織を主とする古生物のグループで,今の生物の分類群のどれに属するかわからないものが多い。


代表的なエディアカラ動物群の化石


プテリジヌム Pteridinum (レプリカ)
先カンブリア時代(約6億年前以前) ロシア

初期の多細胞生物であるエディアカラ生物群の仲間で,海底で生きていた。


アスピエラ Aspiaella (レプリカ)
先カンブリア時代(約6億年前以前) ロシア

初期の多細胞生物であるエディアカラ生物群の仲間で,クラゲに似たもの。


ディキンソニア Dickinsonia costata (レプリカ)
先カンブリア時代(約6億年前以前) オーストラリア

ゴカイの仲間に近いと考えられ,体長10cm以上のものもある。